2025年3月、世界の海上運賃市場では価格の急激な低下とその後の不安定な回復が大きな特徴となっています。この変動が国際物流に与える影響は無視できず、戦略的な対応が求められる局面です。
運賃動向の概況
- 年明けからの急落
1月以降、海上運賃は約36%の下落を記録し(例:SCFI指数が6週連続で下降)。これは、船腹過剰と需要低迷の結果とされています。 - 3月に入っての一時的な反発
世界の主要キャリア(Maersk、MSCなど)は3月にGRI(一般運賃引き上げ)を発表し、短期的な値上げを試みましたが、全体としては市場の弱さを覆すほどの効果は得られず、またすぐに下落トレンドへ戻りました。 - インターアジア市場のわずかな上昇
東南アジア発の運賃は比較的安定して推移。3月時点では韓国で800–900 USD/TEU、ベトナムやシンガポールでも同程度の価格帯にありました。 - 米国向け長期契約運賃の上昇
JOCが報じるところによれば、2025年5月~2026年4月にかけてのアジア→米国航路における長期契約運賃は前年比で15–20%上昇。西海岸向けは1,600–1,800 USD/FEU、東海岸向けは2,600–2,800 USD/FEUという水準です。
地政学リスクと投資家心理
- 不確実性による契約抑制傾向
Clarkson社が指摘するように、貿易政策や紛争の不透明感が高まり、企業は前例のないほど慎重に船舶契約に臨むようになっており、結果として運賃も軟調な状況が継続しています。
インド市場への示唆と弊社アドバイス
- インドを含むアジア圏では、ようやく市況の底打ち感もありつつ、依然として不透明感が強く残る状況です。特にインドでは、港湾インフラの改善・政策変化とあいまって物流体制が変容しつつあり、運賃動向が地域戦略に直結する重要な判断材料となっています。
- 弊社としては以下の支援を強化します:
- 運賃動向の継続的モニタリングと予測の提供
- スポット運賃と契約運賃の最適な使い分け提案
- インドを含めたルート多様化とコスト最適化策の支援