NEWS & REPORT
ニュース・レポート

インド物流コスト削減への挑戦:GDP比9%への道筋と課題

インド政府は2025年6月、道路運輸大臣ニティン・ガドカリ氏が「物流コストをGDP比9%まで削減する」という目標を明言しました。現在のインドにおける物流コストはGDP比で約13〜14%とされ、米国や欧州先進国の8〜9%と比べて高い水準にあります。政府はこの差を埋めるべく、インフラ整備とデジタル化を中心に、コスト最適化の取り組みを本格化させています。


現状の課題:なぜ物流コストが高いのか

インドで物流コストが高止まりしている背景には、以下のような構造的課題があります。

  1. 道路輸送への過度な依存
    インドでは貨物輸送の約65%がトラックなど道路輸送に依存しています。鉄道や内航水運の活用比率が低いため、長距離輸送でもコストが積み上がりやすい構造となっています。道路は道の状態や渋滞もひどく、輸送効率が下がる場合もあります。
  2. インフラの未整備と地域格差
    高速道路や経済回廊は整備が進んでいるものの、地方都市や農村部との接続には課題が残っています。都市間では輸送が円滑でも、最終拠点までの「ラストマイル」で遅延やコスト増が発生しています。渋滞、ドライバー問題など様々な要因があります。
  3. 港湾・通関の非効率性
    港湾における荷役作業や通関手続きが国際標準に比べて長く、コンテナ滞留や追加費用を引き起こしています。電子化は進んでいるものの、依然として人手依存や手続きの複雑さが残る状況です。 情報共有が進むことで通関手続きも効率があがるかもしれません。
  4. 燃料コストと環境制約
    燃料価格の変動や、都市部における環境規制も輸送コスト増加要因となっています。電動車や代替燃料トラックの普及は始まった段階にとどまっています。

政府の取り組みと戦略

ガドカリ大臣は、次のような具体策を掲げています。

  • 経済回廊と高速道路の整備拡充
    デリー・ムンバイ間をはじめとする専用貨物回廊(DFC)や高速道路の建設を進め、長距離輸送の効率化を図ります。
  • モーダルシフトの推進
    鉄道・内航水運の比率を引き上げる政策を進め、トラック依存を緩和。港湾と内陸部を結ぶマルチモーダル物流が強化されつつあります。
  • デジタル化・スマートロジスティクス
    電子料金徴収(ETC)、貨物追跡システム、電子通関などを導入し、時間と手間の削減を推進。港湾や空港でもAI・IoTを活用した効率化が拡大しています。
  • グリーン燃料導入
    電動トラックやCNG・水素燃料の導入を支援し、燃料コストと環境負荷の同時削減を狙っています。

今後の展望と示唆

インドが掲げる「物流コストGDP比9%」という目標は野心的ではあるものの、投資の集中と規制改革によって現実味を帯びつつあります。ただし、地方・中小企業を含むサプライチェーン全体での取り組みが不可欠であり、大手企業だけでなく末端までデジタル化や効率化を浸透させられるかが成功の鍵となります。インドの物流コスト削減は今後の発展には必要不可欠。

また、FTAや国際協定の進展により、インドは今後さらに輸出ハブとしての役割を担う可能性があります。その際に物流コストが高止まりしていては国際競争力を削ぐため、政府と民間双方の努力が不可欠です。


弊社の視点

弊社は、インド物流の現状を次のように捉えています。

  • 輸送モードの最適化提案:鉄道・海運を組み合わせたモーダルシフト戦略の構築支援
  • デジタル化支援:通関業務や貨物追跡の電子化を導入し、効率性と透明性を確保
  • 環境対応の先行支援:ゼロエミッショントラック導入区間に合わせた輸送ルート設計

まだまだ、課題の多い国ですが発展に伴い様々な課題の調整や整理が行われております。この後も現地より最新情報を入手しインド進出企業様のお力になれれば幸いです。

TOP