インドでは国際物流に直結する二つの重要な動きが見られております。ひとつはUAEとの連携を深める形での物流回廊の強化、もうひとつは環境問題重視を背景としたゼロエミッショントラック導入計画です。これらはインドが「持続可能かつ競争力ある物流国家」へと進化するための大きな方向性を示しています。両者を合わせてインフラ整備と構築の観点から整理し、今後の国際物流への示唆を考察します。
UAEとの物流接続強化:新たな国際回廊の構築
インドとアラブ首長国連邦(UAE)は、自由貿易協定(FTA)に基づき、2025年5月から「Trade Connect」を発効しました。これにより、ジェベルアリ港とインド西海岸の主要港であるムンドラ港、ニゴンデヴェーシェーヴァ港(Nhava Sheva)などを結ぶ海上物流ネットワークが強化されました。
UAEは中東最大の物流ハブであり、欧州・アフリカ・中東市場へアクセスする上で不可欠な拠点(HUB)です。そのUAEとの接続が強化されることで、インド発輸出のリードタイム短縮や安定性向上が期待されています。
ゼロエミッショントラック計画:環境と効率の両立
同時期にインド政府は、国内の主要高速道路10区間を対象に「ゼロエミッショントラック(ZET)」専用ルートを設定する計画を発表しました。これは大気汚染の改善、エネルギー安全保障の強化、そして2070年までに掲げたカーボンニュートラル目標の実現に関連する政策です。
物流業界にとって、ZET導入は単なる環境施策にとどまらず、輸送効率の改善、燃料コスト削減、都市部での排ガス規制対応といった多面的なメリットをもたらします。特に、長距離幹線輸送での専用ルート設定は、EVトラックや水素燃料車の導入を加速させ、次世代型のグリーン物流網を形成する礎となります。大気汚染が課題とされているインドでの空気がきれいになるのそう遠くはない。
インフラと環境政策の融合がもたらすもの
この二つの動きは、相互に補完関係を持っています。UAEとの物流回廊はインドの輸出競争力を高めるものであり、同時にZET政策はその物流を環境的に持続可能なものへ転換させる力を持ちます。つまり、インドは「量と効率」を追求するだけでなく、「質と持続性」を伴った物流インフラの構築へと舵を切ったといえるでしょう。
また、こうした政策の裏側には地政学的な視点も存在します。米中摩擦や紅海情勢不安の中で、インドは「サプライチェーンの代替地」として国際的に注目されています。UAEとの接続強化は市場アクセスの多様化を、ZET導入は環境・規制対応を実現し、インドの物流網を国際基準に引き上げるものです。東南アジア、中国、アフリカ、中東の真ん中に位置するインド、HUBの場所としても大いに期待がもてそうです。
弊社の視点とご提案
弊社は、インドのインフラ整備と環境対応を 将来のサプライチェーン戦略の中核と捉えています。
- 港湾・倉庫選定の最適化支援:UAE経由の新ルート活用に対応
- グリーン物流導入サポート:ZET導入区間に応じた輸送計画設計
- FTA活用コンサルティング:関税削減と輸送効率化の両立
お客様が持続的かつ効率的に国際市場へアクセスできるよう伴走してまいります。